会社を辞めようとするときに、
「競業禁止(競業避止義務)」の誓約書にサインしてるんだから、同業の会社には転職できないからな!
こんなことを上司から言われたことはありませんか?
「会社を辞めちゃえば、あとは自由だろう」なんて軽く考えていると、この「競業禁止(競業避止義務)」によって、退職金が減額されたり、損害賠償請求なんてこともありえるんです。
そこでこの記事では、働く人向けに「競業禁止(競業避止義務)」とはどのようなルールか、退職後に守るべきなのか、誓約書にはサインするのか、といったギモンにお答えしていきます。
「退職して、同業の会社に転職したい!」と考えているなら、ぜひご覧ください。
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・記事「失敗しない転職先の探し方・見つけ方!」
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「競業禁止(競業避止義務)」とは?
「競業禁止」とは、競業避止義務ともよばれ、競合関係にある同業の会社への転職を禁止することです。
ただし、労働基準法などの法律で決められたルールではありません。
会社側が、「競業禁止(競業避止義務)」について記載された誓約書や契約書などを作成し、社員がサインすることでその義務が発生するものです。
会社としては「企業秘密」を同業他社に漏らされては困るため、さまざまな手段をつかって、社員の「競業禁止(競業避止義務)」を徹底させようとします。
違反した社員に対しては、退職金の減額や不支給、損害賠償の請求をする会社も。
特に「退職後に、同業への転職を考えている」というときは、しっかりこのルールを理解しておきましょう。
退職後の「競業禁止(競業避止義務)」は守らなくちゃいけないの?
多くの会社で、在職中や退職後の「競業禁止(競業避止義務)」を取り決めた契約書や誓約書を、社員に提出させます。
では、それを提出してしまったら、退職後の「競業禁止(競業避止義務)」は守らなくちゃいけないのでしょうか?
同業の会社には、転職できないのでしょうか?
結論としては、「契約書などで定められた期間は、同業への転職は避けることが安全」となります。
契約書などにサインをするということは、会社と「競業禁止(競業避止義務)」の約束をしてしまったということ。
「同業に転職する」ということは、その契約(約束)をやぶったのですから、退職金減額や損害賠償の請求をされても文句はいえません。
一番いいのは、契約書や誓約書などにサインしないこと。
それが難しいなら、契約書などにしたがうことです。
「競業禁止(競業避止義務)契約」が有効か判断する6つのポイント
ただし、どんな内容の「競業禁止(競業避止義務)」であっても、無制限に認められるわけではありません。
それは「同業への転職を禁止する」ことは「職業選択の自由(憲法22条1項)」の侵害となるためです。
憲法22条1項
何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
しかし、会社が成長するためには営業秘密は重要で、社員にもらされると多大な損害が発生してしまう。
そのため、これまでの多くの裁判で「競業禁止(競業避止義務)」について争われてきました。
その結果、「競業禁止(競業避止義務)」が有効か判断するためには、次の6つのポイントが重要とされています。
これらのポイントが「合理的でない」とき、その「競業禁止(競業避止義務)」が有効でないとなります。
ただし、上記4の期間だけみても「1年以内は肯定的、2年では否定的」という判例は多いものの、明確に「○年以上は無効!」と言い切れるものではありません。
有効かどうかを知りたいときは、その契約書などをもって、記事「会社・仕事の悩みの相談先を紹介」でご紹介する”労働局”などに確認してみましょう。
「競業禁止(競業避止義務)」の契約書・誓約書にサインしないといけないの?
「競業禁止(競業避止義務)」に反せず同業の会社に転職するのに、一番いいのは契約書・誓約書にサインをしないことです。
サインをしなければいけないという「義務」もありません。
本『会社のきれいなやめ方』でも「競業禁止規定のある退職合意書を書かなければいけない?」という質問に「そのような要請に応じる必要はありませんし、応じるべきではありません。」と回答しています。
「サインすることで、会社に損害賠償請求を行なう材料を与えてしまう」というもの。
ただし、退職時に会社からサインを求められたならまだしも、入社時にサインを求められて、拒むことはなかなか難しいですよね。
そこで、契約書などの内容を確認し、「範囲が広すぎないか、禁止期間が長すぎないか」を確認したうえでサインするようにしてください。
なぜ会社は競業禁止の合意書や誓約書にサインさせたがる?
会社は、自社の営業秘密などを、他社に持っていかれることを警戒します。
そのため社員に、競業禁止の合意書や誓約書にサインをさせたがるというわけです。
「競業禁止の誓約書にサインしないと退職させない」と言われたら
会社から、
競業禁止の誓約書にサインしないと退職させないよ…
と言われたら、サインするしかないのでしょうか?
いいえ。
それでもキッパリと拒否してかまいません。
「競業禁止(競業避止義務)」は、法律で決められた義務ではありません。
会社側が「社員に負わせたいルールのひとつ」でしかないのです。
会社がそれでも「サインしろ!」といってくるなら、これはもう完全なブラック企業です。
あとは、
でしたら「労働局」に相談します!
と会社に伝え、ホントに労働局に行って相談しましょう。
労働局の連絡先などは、記事「会社・仕事の悩みの相談先を紹介」でご紹介しています。
「競業禁止(競業避止義務)違反」を理由に退職金を減額するのは違法?
なかには「競業禁止(競業避止義務)違反」を理由に退職金を減額する会社もあるようですが、これは違法なのでしょうか?
じつは、完全に違法とはいえません。
それは、次の2点を満たしている場合で、このケースは退職金の減額が違法ではありません。
逆にいえば、この2点のどちらかでも満たしていなければ、減額は認められません。
さらに「退職金を支給しない」ことは、「これまでの社員のはたらきを、すべて失わせるほどの違反行為」でなければ、認められません。
そのため「競業禁止(競業避止義務)」違反ということでは、不支給は認められないことが多いようです。
もし会社が「退職金を減額する!」といってきたら、一度労働局で、誓約書の内容を確認してもらいましょう。
労働局の連絡先などは、記事「会社・仕事の悩みの相談先を紹介」でご紹介しています。
まとめ:「競業禁止(競業避止義務)」のルールを理解しよう
この記事では、働く人向けに「競業禁止(競業避止義務)」とはどのようなルールか、退職後に守らなくちゃいけないのか、誓約書にはサインするのか、といったギモンにお答えしてきました。
退職後とはいえ「競業禁止(競業避止義務)」を守るべきケースもでてきます。
そのルールをよく理解して、問題のない転職につなげましょう。
◆「退職のルール全般」を知りたい方には、こちらの記事もオススメです。
・記事「退職ルールまとめ」
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参考文献
この記事では、下記の書籍を参考にさせて頂いております。
- 書籍 弁護士による退職代行サービス研究会・著『会社のきれいなやめ方』自由国民社
- 書籍 労働問題研究会・著『働く人のための法律ガイドブック』労働教育センター