会社ではたらいていて、
仕事中にケガしたとき、バタバタしていて労災申請をまだしてないけど、時効ってあるのかな?
こんなギモンをお持ちではないですか?
申請には期限がつきものですが、せっかくもらえる給付金が貰えなくなるのは避けたいですよね。
そこでこの記事では、労災保険申請の時効は何年なのか、その起算点と期間や、うつ病での労災のケースまでご紹介していきます。
「仕事中や通勤中にケガをしたけど、まだ労災保険の申請をしていない」というときは、ぜひご覧ください。
◆「労災保険とその内容」をくわしく知りたい方には、こちらの記事もオススメです。
・記事「労災保険とは?わかりやすく解説もわかりやすく解説」
労災保険申請の時効は何年?起算点と期間
まずは、労災保険申請の時効は何年か、その起算点と期間をご紹介していきます。
なお、会社が申請してくれるケースも多いですが、労災申請は本来、本人が行うもの。
会社は、労災の申請書への証明(証明欄への記載)を行います。
もし会社が書類作成に応じてくれないときは、記事「会社・仕事の悩みの相談先を紹介」でご紹介する”労働基準監督署”に相談・申請してみてください。
労災保険申請の時効は2年・5年・ナシの3種類
時効とは、法律上の権利を運用しない期間が長く続いた場合に、その権利が認められなくなるという制度です。
永遠に権利が保障されているわけではないので、適正に権利を運用しなさいよ、というもの。
そして労災保険申請の時効は、2年・5年・ナシの3種類となり、労災保険法にて決められています。
労災保険法 42条
療養補償給付、休業補償給付、葬祭料、介護補償給付、複数事業労働者療養給付、複数事業労働者休業給付、複数事業労働者葬祭給付、複数事業労働者介護給付、療養給付、休業給付、葬祭給付、介護給付及び二次健康診断等給付を受ける権利は、これらを行使することができる時から二年を経過したとき、障害補償給付、遺族補償給付、複数事業労働者障害給付、複数事業労働者遺族給付、障害給付及び遺族給付を受ける権利は、これらを行使することができる時から五年を経過したときは、時効によって消滅する。
また、それぞれ起算点(申請できる権利の発生日)が変わる点にも注意が必要です。
次項からは、時効期間ごとの保険給付をご紹介します。
時効が2年の労災保険給付と起算点
時効が2年の労災保険給付と起算点は下表のとおりです。
保険給付 | 起算点 | 時効 |
---|---|---|
療養(補償)給付 | 療養の費用を支出した日ごとに請求権が発生し、その翌日 | 2年 |
休業(補償)給付 | 賃金を受けない日ごとに請求権が発生し、その翌日 | 2年 |
障害(補償)年金前払一時金 | 傷病の治った日の翌日 | 2年 |
遺族(補償)年金前払一時金 | 被災労働者が亡くなった日の翌日 | 2年 |
葬祭料(葬祭給付) | 被災労働者が亡くなった日の翌日 | 2年 |
介護(補償)給付 | 介護を受けた月の翌月の1日 | 2年 |
なお正確にいうと、「療養(補償)給付」には次の2つがあり、時効の対象となるのは以下2の「療養の費用の支給」のみです。
以下1の「療養の給付」は現物給付ですから、時効は関係ありません。
- 療養の給付:労災病院などで無料の診療を受けられる(現物給付)
- 療養の費用の支給:労災病院以外の病院などで診療をうけ、その療養にかかった費用を支給する(現金給付)
また、「障害(補償)年金前払一時金」の起算点にある「傷病が治った」の定義について。
これは、カラダが「健康時の状態まで完全に回復した状態」のみをいうわけではありません。
労災保険で「治った」とは、次の状態を指し、「治ゆ(症状固定)」ともよばれます。
労災保険における「治った」とは、
傷病の症状が安定し、医学上一般に認められた医療を行っても、その医療効果が期待できなくなった状態(治ゆ、症状固定)
時効が5年の労災保険給付と起算点
時効が5年の労災保険給付と起算点は下表のとおりです。
保険給付 | 起算点 | 時効 |
---|---|---|
遺族(補償)年金 | 被災労働者が亡くなった日の翌日 | 5年 |
遺族(補償)一時金 | 被災労働者が亡くなった日の翌日 | 5年 |
障害(補償)給付 | 傷病が治癒した日の翌日 | 5年 |
障害(補償)年金差額一時金 | 被災労働者が亡くなった日の翌日 | 5年 |
名称が似ていながら、「障害(補償)年金前払一時金」や「遺族(補償)年金前払一時金」のように時効が2年というものも。
労災保険の申請時には、こちらの厚生労働省の資料を確認し、まちがいのない申請を行いましょう。
傷病(補償)年金は時効ナシ
労災保険のなかで、「傷病(補償)年金」だけは時効はありません。
これは「傷病(補償)年金」が、「請求することで支給する」ものではないため。
労働基準監督署長の職権で支給が決定されるため、時効は存在しません。
傷病(補償)年金とは、
療養補償給付をうける人の傷病が1年6か月たっても治らず、その傷病による障害が傷病等級に該当する場合に、下表の給付金が支給される制度
仕事が原因でうつ病になったら、労災保険申請の時効は?
記事の最後に、仕事が原因でうつ病になったら、労災保険申請の時効はどうなるのか確認しましょう。
仕事が原因でうつ病になった場合も労災保険申請の時効は前項のとおり
仕事が原因でうつ病になった場合でも、労災保険申請の時効は前項のとおりです。
これは労災保険が、発生原因や状態(精神障害)ではなく、支給する給付によって時効を定めているためです。
前項でご紹介したように、2年・5年・ナシの3種類となりますので、出来るだけ早めに申請は行いましょう。
まとめ:労災保険申請の時効は2年・5年・ナシ、早めの申請を
この記事では、労災保険申請の時効は何年なのか、その起算点と期間や、うつ病での労災のケースまでご紹介しました。
記事でご紹介したとおり、労災保険申請の時効は2年・5年・ナシの3種類です。
ですが早めの申請を行って、安心して療養に専念しましょう。
◆「労災保険とその内容」をくわしく知りたい方には、こちらの記事もオススメです。
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参考文献
この記事では、下記の書籍を参考にさせて頂いております。
- 書籍 近藤恵子・著『知らないと損する労災保険』東洋経済新報社