会社ではたらいていて、
会社を辞めたい…けど、いろいろあって辞められない…
と悩んでいる人はいませんか?
いろいろな事情があるにせよ、「辞めたい」と思いながら働くのはツラいですよね。
そこでこの記事では、会社を辞めたいけど辞められない人向けに、上司・同僚・転職先などの原因別の対策を解説していきます。
「退職したい…」と考えているあなたは、ぜひご覧ください。
◆「退職のルール全般」を知りたい方には、こちらの記事もオススメです。
・記事「退職ルールまとめ」
◆次の会社を探したいときには、こちらの記事が参考になります。
・記事「失敗しない転職先の探し方・見つけ方!」
・記事「派遣社員になりたいとき」
◆「会社・仕事のことをどこかに相談したい」ときの相談先は、こちらの記事でご紹介しています。
・記事「会社・仕事の悩みの相談先を紹介」
会社を辞めたいけど辞められない人に知ってほしいこと
まずは、会社を辞めたいけど辞められない人に知ってほしいことを、2点ご紹介します。
社員には退職の自由があります!
まず知ってほしいのは、社員には退職の自由があるということ。
憲法22条において「職業選択の自由」、つまり「退職の自由」は保障されています。
そして具体的には後述しますが、「労働契約の期限の有無」と「期間の長さ」によって、次のような「退職のルール」が法律で認められています。
また、
会社に与えた損害や、前借り金を返済するまで退職させない!
このような扱いは「強制労働の禁止」にふれるため、禁止されています。
退職は法律で認められており、社員は法律で守られていると、覚えておきましょう。
ただし社員には「引き継ぎの義務」もある
ただし社員には、「引き継ぎの義務」もあります。
そのため、
「退職の自由」があるので、本日付で退職しま~す!
こんなことをすると、会社から「損害賠償請求」をされる可能性も。
なぜなら社員には、退職するにあたって「引き継ぎを行う」という、雇用契約における信義則上の義務があるからです。
信義則:「信義誠実の原則」の略。「権利の行使」と「義務の履行」は、相手の信頼や期待にしたがい、誠実に行なわなければならないとする原則のこと
労働契約法 第三条(労働契約の原則)4項
労働者及び使用者は、労働契約を遵守するとともに、信義に従い誠実に、権利を行使し、及び義務を履行しなければならない。
そのため引き継ぎせずに退職すると、引き継ぎ義務違反として損害賠償請求などのトラブルになることもあるのです。
退職時には、忘れずに引き継ぎを行いましょう。
後に「引継ぎを行わなかった!損害賠償を請求する」と言いがかりをつけられないよう、次の方法で行うとベストです。
次項からは、会社を辞められない理由ごとに、対策をご紹介していきます。
◆「仕事ができない…」という方へのアドバイスは、記事「「仕事ができないから会社辞めたい」はNG!」でご紹介しています。
会社を辞めたいけど、上司が退職を認めないので辞められないときの対策
上司に退職の申し出をしたのに「認めない!」と言われて、会社を辞められない…。
こんなときの対策は、次の2つです。
上司が退職を認めてくれないとき
- 対策1:このまま「合意退職」を目指す→退職を認めてもらえるまで上司とねばり強く交渉する
- 対策2:やむを得ないため「辞職」する→退職届を出す
対策1:このまま「合意退職」を目指す
できれば会社とモメずに退職したい。
そんなときは、できるだけ「合意退職」を目指しましょう。
退職を認めてもらえるまで、空いた時間を見つけては、上司とねばり強く交渉してください。
「退職願」を作成して、テーブルに置いた状態で交渉すると、より本気度が伝わります。
ただし2~3ヶ月交渉しても認めないようなら、「さらに上役の上司と相談する」など、方法を変更すべき。
さらに上役の上司もやはり認めてくれなければ、あきらめて次項の「辞職」を検討しましょう。
ちなみに退職願は市販の封筒などで大丈夫ですが、こちらのセットなら「退職願用便せん」や「郵送時添え状」まですべて揃っているので、おすすめです。
対策2:やむを得ないため「辞職」する
どうしても上司が退職を認めないなら、やむを得ませんので「辞職」しましょう。
「辞職」の場合は、会社が認めなくとも退職することが可能で、その方法は次のとおり。
- 上司に「退職届」を出す
- 2週間後に退職する
「社員から申し込む退職」の種類には、前項の「合意退職」のほかに今回の「辞職」があり、その違いは以下のようになります。
「社員から申し込む退職」の種類
1.合意退職:会社と社員の両方が合意して、雇用契約を終了させる退職方法
2.辞職:会社側の意思に関係なく、社員の一方的な意思で雇用契約を終了させる退職方法
「辞職」で使用するのが「退職届」。
前項の「合意退職」で使用したのは「退職願」ですので、間違わないように気をつけてください。
ただし有期雇用契約で、働きはじめて1年以下の場合は、退職には「やむを得ない事由」が必要です(くわしくは後述)。
◆「退職願と退職届の使い分け」についてくわしくは、こちらの記事でご紹介しています。
・記事「退職願・退職届・辞表の違いは?」
会社を辞めたいけど、上司が「退職届」を受け取らず辞められないときの対策
退職を申し出ても認めてくれないので、「退職届」を提出したら、上司が受け取ってくれない…
こんなときの対策は、次のとおりです。
上司が「退職届」を受け取ってくれないとき
- 対策:「内容証明郵便」など証拠が残る形で送る
対策:「内容証明郵便」など証拠が残る形で送る
対策としては、「内容証明郵便」など、証拠が残る形で「退職届」を送りましょう。
そこまで大げさにしたくないときは、メールやFAXでもOKです。
「いつ送信したか」がわかれば、その上司もとぼけることはできません。
これなら、到着した日から2週間後には退職が可能です。
本来は、社員の「辞職」の意思を示す「退職届」を、会社は拒否することができません。
辞職は、社員側の”一方的な意思での契約終了”なので、会社側の意思は関係ないんです。
上司はもしかすると、
「退職届」を受け取らなかったら、退職できないだろう!ザマーミロ!
などと考えているのかもしれません。
こういう上司だと、「退職届」をただデスクに置いても「そんなものはなかった」と、とぼけられてしまう可能性も。
内容証明郵便・メール・FAXなど、第三者にも認識される方法を使いましょう。
会社を辞めたいけど、留学費用を請求されから辞められないときの対策
以前、会社の費用で留学するときに「3年以内に退職した場合は、留学費用を全額支払うこと」という書類にサインしたので、辞められない…。
こんなときの対策は、次のとおりです。
「◯年以内に辞めると留学費用を請求される」ので辞められないとき
- 対策:「賠償予定の禁止」に反する合意であり「無効」となるので、退職しても支払う必要はない
対策:「賠償予定の禁止」に反する合意であり「無効」となるので、退職しても支払う必要はない
労働基準法16条では、「社員の労働不履行の防止」を目的に「違約金を定める」などの「賠償予定」を禁止しています。
つまり「社員が労働者としての義務を果たさなかった場合」のために、「一定額の支払いを義務づける規定」をつくったり、そのルールに社員を合意させることはできません。
つまり、「○年以内に退職したら返金」という書類にサイン(合意)しても、それは「無効」。
退職しても支払う必要はありません。
ただし業務ではない「自主的な留学」なら、返還合意が有効な場合も
前項でご説明したのは、あくまでも「会社が業務目的で命じた留学や研修」の場合です。
これが、「自主的な(業務ではない)留学だったが、会社が便宜をはかって立て替えてくれた」ものなら話は変わります。
自主的な留学は、もともと社員が自分で負担すべき費用。
この場合は「賠償予定の禁止」にはあたらないため、労働基準法に違反せず、返金する必要があります。
会社を辞めたいけど、人手不足で同僚に申し訳なくて辞められないときの対策
今退職したら、その負担が同僚にいくので、申し訳なくて辞められない…
こんなときの対策は、次のとおりです。
職場が人手不足で、同僚に申し訳なくて辞められないとき
- 対策:「なぜ退職したいのか」・「退職したらどうしたいのか」を明確にし、それを優先で考える
対策:「なぜ退職したいのか」・「退職したらどうしたいのか」を明確にし、それを優先で考える
「同僚に申し訳ない」と思うときは「なぜ退職したいのか」・「退職したらどうしたいのか」を明確にし、それを優先で考えるようにしましょう。
たとえば、
今の仕事は、どう「人の役に立っているか」がわからない…
もっと笑顔を近くで見られる仕事がしたい!
このように、「◯◯したい」を明確にして、書き出してみましょう。
すると本人も意識しはじめて、「その仕事を探すこと」が何よりも優先されていきます。
たとえ、退職で会社が大変な状況になったとしても、それは退職するあなたが悪いのではありません。
”社員の退職のリスク”をカバーできない「会社」が悪いのです。
また、退職したら、ほとんどの同僚とはもう会うことはありません。まず自分のことを第一に、次へ進みましょう。
◆「人手不足でパートを辞められないときの対処法」は、こちらの記事でくわしくご紹介しています。
・記事「人手不足でパートの仕事が辞められない…どうすればいい?」
会社を辞めたいけど、転職先が見つからないので辞められないときの対策
なかなか次の転職先が見つからなくて、これじゃ会社を辞められない…。
こんなときの対策は、次のとおりです。
転職先が見つからないので辞められないとき
- 対策:転職エージェントや知り合いのツテやコネなど、使えるものはすべて使う
対策:転職エージェントや知り合いのツテ・コネなど、使えるものはすべて使う
おそらく、ハローワークや転職サイトは使っていると思いますが、それ以外の手段も使えるものはすべて使いましょう。
特に、転職エージェントはかなり役立ちます。
おすすめ転職エージェントは、記事「失敗しない転職先の探し方・見つけ方!」でご紹介しています。
僕も以前、転職エージェントを使って、満足のいく転職ができました。
行きたい会社があるなら、親戚や昔の同僚などとにかく知り合いに連絡して、その会社へのツテやコネがないか探すこともおすすめです。
◆次の会社を探したいときは、こちらの記事が参考になります。
・記事「失敗しない転職先の探し方・見つけ方!」
・記事「派遣社員になりたいとき」
法律上の退職ルールを確認
記事の最後に、法律上の「退職ルール」を確認しましょう。
まずは有期雇用契約・無期雇用契約のどちらかを確認
まず確認してほしいのは、あなたの仕事が「有期雇用契約」と「無期雇用契約」のどちらか、という点です。
- 有期労働契約:「3ヶ月」や「6ヶ月」など、期間の定めのある労働契約のこと。更新されている場合も含む
- 無期労働契約:期間の定めのない労働契約のこと
確認方法は、はたらきはじめた際に会社から明示された「労働条件通知書」や、とりかわした「雇用契約書」などを調べること。
ここで「契約期間」に日付がはいっていれば「有期労働契約」、なければ「無期労働契約」です。
次に、それぞれの「退職ルール」をご紹介します。
[ケース①]有期労働契約での退職ルール
「有期労働契約」ではたらく社員は、原則として、契約期間中に退職することはできません。
(そのかわり「会社側も原則、解雇できない」ことになっています)
ただし次のケースであれば退職が可能。
- 契約期間が1年を超えるとき:はたらきはじめて1年たてば、いつでも退職の申し入れができる
- 契約期間が1年以内のとき:契約が更新されたら、いつでも退職の申し入れができる
また契約期間中でも、前述の「やむを得ない事由」をふくめた以下の場合には、退職ができます。
ただ、「やむを得ない事由」があっても、「退職の理由」がパート社員側の過失によって生じて、具体的な損害が発生した場合は、パート先から損害賠償の請求をされる可能性があります。
[ケース②]無期労働契約での退職ルール
「無期労働契約」ではたらく社員は、会社に対して、いつでも退職の申し入れができます。
民法上では「退職の2週間前」までに申し入れれば、退職が可能とされます。
ですが円満退社をしたいときは、会社のルールにしたがいましょう。
就業規則をみて、そこに「退職の場合は◯日前までに申請すること」といったきまりがあれば、その日数にあわせて退職の申し入れを行ってください。
◆「退職のルール全般」を知りたいときは、こちらの記事もオススメです。
・記事「退職ルールまとめ」
まとめ:会社を辞めたいときは対策をたてましょう
この記事では、会社を辞めたいけど辞められない人向けに、上司・同僚・転職先などの原因別の対策を解説してきました。
ぜひ記事を参考に、あなたの状況を打破する対策を確認し、退職に向けて進んでいきましょう。
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参考文献
この記事では、下記の書籍を参考にさせて頂いております。
- 書籍 労働調査会出版局・編『新よくわかる労働基準法』労働調査会
- 書籍 弁護士による退職代行サービス研究会・著『退職のプロが教えます!会社のきれいなやめ方』自由国民社