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正社員はパワハラを理由に「即日退職」できる?パート・アルバイト・契約社員・試用期間中でのケースも解説

正社員はパワハラを理由に「即日退職」できる?パート・アルバイト・契約社員・試用期間中でのケースも解説退職

厚生労働省の調査によれば、「過去3年間にパワハラを受けたことがある」と回答した人は32.5%
会社員の3人に1人が、パワハラを受けていたことになります。

過去3年間にパワハラを受けたことがある割合
出典:厚生労働省

このような状況のなかで、

上司のパワハラがひどいので、すぐにでも会社を辞めたい…。即日退職はできるの?

という悩みをお持ちの方も、多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、正社員やパート・アルバイト、試用期間中の場合に、会社での「パワハラを理由に即日退職はできるのかどうか」を解説していきます。

職場のパワハラに悩んでいるときは、ぜひご覧ください。

◆「退職のルール全般」を知りたい方には、こちらの記事もオススメです。
・記事「退職ルールまとめ

◆次の会社を探したいときには、こちらの記事をどうぞ。
・記事「失敗しない転職先の探し方・見つけ方!
・記事「派遣社員になりたいとき

正社員は、パワハラを理由に即日退職はできる?

正社員は、パワハラを理由に即日退職はできる?

まずは、”正社員がパワハラを理由に即日退職できるのか?”を確認しましょう。

会社が同意したなら即日退職が可能

会社が同意したなら、正社員がパワハラを理由としての即日退職が可能です。

ここで大切なのは、「どんな理由か」や「事実かどうか」などではなく、あくまでも「会社が同意するかどうか」という点。

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実際にパワハラがあったとしても、会社が「引き継ぎがあるから、同意できない」と言われれば、即日退職はできません。

「即日退職」については、次項でくわしくご紹介します。

◆「上司のパワハラで退職するときの流れ」は、こちらの記事でご紹介しています。
・記事「上司のパワハラで退職するときの流れは?

即日退職とは?法律上問題のない・違法とならない2ケース

即日退職とは、会社に「退職したい」と伝えて、その日に退職すること

そして即日退職が法律上問題のない・違法とならないのは次の2ケースです。

即日退職が法律上問題のない・違法とならないケース
  1. 会社が即日退職に同意した場合
  2. 求人票や労働条件通知書などの労働条件が、実際と違っていた場合

上記1は、「合意退職(合意解約)」の状態をさします。

お互いが合意しているので、いつ退職するかも自由に決められ、即日退職も可能というわけです。

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この「合意退職」が理想的ですが、僕は今まで一度も「同意した会社や、同意されて即日退職した人」をみたことがありません。ハードルがかなり高いと思ってください。

また上記2は、”ハローワークや募集広告に記載された「労働条件」をみて入社したところ、実際の条件はまったくちがっていた”ような場合です。

このとき社員は、会社側に対して、「求人票や労働条件通知書などの労働条件を守るように要求する」ことができます。

会社が応じない場合には、労働契約の即時の解除、つまり「即時退職」ができます(労働基準法15条2項)。

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これは正社員だけでなく、パートやアルバイトなどの「非正規社員」でも通用するルールです。

◆「求人票などの労働条件が実際とちがっていた場合の対応」についてくわしくは、こちらの記事でご紹介しています。
・記事「求人広告・求人票の労働条件が実際と違うときはどうする?

会社が同意しない場合に即日退職する方法

会社が同意しない場合に即日退職する方法

前項で「会社が同意すれば即日退職が可能」とお伝えしましたが、正直これが認められることは難しいです。
そこで次に、会社が同意しない場合に即日退職する方法をご紹介します。

ただしここでご紹介するのは、あくまでも「法的に問題ない方法」であって「会社とモメない方法」ではありません

実行すると、会社から「道義的に許されないぞ!」として責められる可能性はあります(電話で責められる、取引先に言いふらされるなど)。

そのため、もし「できるだけモメずに済ませたい」というときは、記事「会社とモメない退職手順」を参考にしてください。

退職を申し出て2週間の有給休暇をとる

会社が即日退職に同意しない場合は、”退職を申し出て2週間の有給休暇をとる”という方法がおすすめです。
これなら、即日退職に近い形で辞めることが可能。

ちなみにこのときは、退職について会社側から合意してもらう必要はありません
「任意退職(または辞職)」とよばれる”社員側からの労働契約解約の申し入れ”であり、申し入れから2週間後に労働契約は終了するためです(無期労働契約の場合)。

また有給休暇の取得についても、会社側の同意はなくてもOKです。
有給休暇の取得は社員の権利であり、会社側は「時季変更権」以外では取得を拒めません。

「時季変更権」とは、繁忙期などに有給休暇の取得日を変えさせられる会社側の権利。
しかし社員の退職前には、変更できる日がないため「時季変更権」は使えません

安心して有給休暇をとってください。

ただし引き継ぎを行わないと損害賠償請求の可能性も:せめて資料作成・メール送付を

ただし前項の方法で注意すべきなのが、引き継ぎを行わないと損害賠償請求の可能性がある点です。
実際に、社員が会社から訴えられる事件が、ニュースなどで報じられます(労働新聞社より)。

これは、社員には退職するにあたって「引き継ぎを行う」という、雇用契約における信義則しんぎそく上の義務があるためです。

労働契約法 第三条(労働契約の原則)4項
労働者及び使用者は、労働契約を遵守するとともに、信義に従い誠実に、権利を行使し、及び義務を履行しなければならない。

信義則しんぎそく:「信義誠実の原則」の略。「権利の行使」と「義務の履行」は、相手の信頼や期待にしたがい、誠実に行なわなければならないとする原則のこと

また、多くの会社では「退職時には引き継ぎを行う」といったルールを、就業規則などで設けています。

そのため引き継ぎせずに退職すると、引き継ぎ義務違反として損害賠償請求などのトラブルになることもあるのです。

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そのため、できれば退職前に数日は出社し、引き継ぎだけは行うことをオススメします。

「どうしても会社に出社したくない」というときは、せめて次の方法をとってください。

  1. 退職を申し出る前に、あらかじめ”自分の業務内容や手順など”をまとめた「引き継ぎ資料」を作成しておく
  2. 有給休暇に入る前に、上司や周囲の社員へ、メールで資料データを送信する

パート・アルバイト・契約社員・試用期間中ではパワハラを理由に即日退職できる?

パート・アルバイト・契約社員・試用期間中ではパワハラを理由に即日退職はできる?

前項では、正社員のケースを扱ってきましたが、パート・アルバイト・契約社員・試用期間中の場合では、パワハラを理由に即日退職はできるのでしょうか?

ここでは、パート・アルバイト・契約社員・試用期間中の場合の即日退職を確認しましょう。

パート・アルバイト・契約社員・試用期間中でも会社が同意すれば「即日退職」できる

結論としては、パート・アルバイト・契約社員・試用期間中の場合でも、正社員と同様会社が同意すれば即日退職ができます

これは即日退職が「合意退職(合意解約)」にあたるものであり、正社員やパートなどの「雇用形態」に関係なく適用されるためです。

ただし、

会社が同意しなかったから、「退職届を出して2週間の有給休暇取得」で行こう!

と思った方は、ちょっと待ってください。

この部分については、有期雇用契約の場合はルールが変わります
くわしくは後述しますので、ルールをよく確認してください。

覚えておこう!正社員・パート・アルバイト・契約社員・試用期間中の「辞職のルール」

覚えておこう!正社員・パート・アルバイト・契約社員・試用期間中の「辞職のルール」

それでは次に、正社員・パート・アルバイト・契約社員・試用期間中それぞれの場合について、「辞職のルール」を確認してみましょう。

◆「退職のルール全般」を知りたい方には、こちらの記事もオススメです。
・記事「退職ルールまとめ

辞職とは?退職の基本情報

退職には、大きく分けて次の2つがあります。

  1. 合意退職(合意解約)
    社員が申し出た退職について、会社が合意すること。(一般的に退職願を使用)
  2. 辞職(任意退職)
    会社側の意思に関係なく、社員の一方的な意思により「雇用契約」を終了させること(一般的に退職届を使用)

前述のとおり、”会社が同意しての即日退職”は、合意退職にふくまれます。

また合意退職において、会社に申し出てから退職するまでの期間は、多くの会社で就業規則などで決められています。
「2~3ヶ月前まで」ということが多く、なかには「6ヶ月前まで」という会社もあるようです。

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会社でとくに決まりがない場合でも、せめて「1ヶ月前」までは申し出ましょう。

辞職における、申し出てから退職するまでの期間は、「無期雇用契約」か「有期雇用契約」かで変わりますので、くわしくは以下でご紹介します。

なお辞職する場合は、会社の同意は必要ありません
「辞めたいのに、会社が辞めさせてくれない」ときは、最後の手段として「辞職する」という方法があることを、覚えておきましょう。

正社員(無期雇用契約)の辞職のルール

まずは、正社員の場合の辞職ルールです。
これは「無期雇用契約」の場合の辞職ルールともいえ、ポイントは次のとおり。

無期雇用契約の辞職のルール
  • 会社に対して、いつでも退職の申し入れをすることができる
  • 申し入れの日から2週間後に退職できる

なお「2週間後」というルールは、民法で決められています。

民法627条1項
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

「パート・アルバイト・契約社員」(有期雇用契約)の辞職のルール

「パート・アルバイト・契約社員」の辞職のルールを見る前に、まず確認してほしいのが「自分が会社とむすんでいるのは、有期雇用(労働)契約と無期雇用(労働)契約のどちらか」という点です。

  1. 有期ゆうき雇用(労働)契約:「3ヶ月」や「6ヶ月」など、期間の定めのある労働契約のこと。更新されている場合も含む
  2. 無期むき雇用(労働)契約期間の定めのない労働契約のこと

これは「正社員か、非正規社員か」の違いではないので、注意してください。
会社によっては、「契約社員」なのに「無期労働契約」ということもあります。

確認する方法は、はたらきはじめたときに会社から明示された「労働条件通知書」や、とりかわした「雇用契約書」などを調べることです。

そして書類の「契約期間」の欄をみて、に期間の定めあり”なら「有期労働契約」期間の定めなし”なら「無期労働契約」です。

「パート・アルバイト・契約社員」でも、「有期労働契約」なら、前項を参考にしてください。
「有期労働契約」であれば、辞職のルールは次のようになります。

有期雇用契約の辞職のルール
  • ①雇用期間が1年を超える
    はたらき始めて1年経過後は、いつでも退職できる(労働基準法137条)
  • ②雇用期間が1年以下で、雇用期間が更新された
    いつでも退職できる(民法629条)
  • ③雇用期間が1年以下で、雇用期間が更新されていない
    「やむを得ない事由」があるときに限り、直ちに退職できる(民法628条)

「有期契約」の場合は、”会社と社員のお互いが、期間に合意してはたらいているのだから、期間内には辞められない”が基本ルールとなっています。

また、上記③の「やむを得ない事由」としては、次のような「ふさわしい理由」が必要です。

  • 本人の健康上の理由
  • 家族の介護

ただしこの「事由」が「社員側の一方的過失」であれば、会社から損害賠償請求をされる可能性もありますので気をつけてください。

「試用期間中」の辞職のルール

「試用期間中」であっても、退職のルールは通常雇用時と変わりません
そのため「試用期間中」も前項までと同様で、「雇用契約期限の有無と、期間の長さ」によって決まります。

「試用期間中」の退職のルール
  • 無期雇用契約の場合
    正社員のところで紹介したとおり、いつでも退職の申入れをすることができ、申入れの日から二週間で退職できる
  • 有期雇用契約の場合
    ①雇用期間が1年を超える:働き始めて1年経過後は、いつでも退職できる(労働基準法137条)
    ②雇用期間が1年以下で、雇用期間が自動更新された:いつでも退職できる(民法629条)
    ③雇用期間が1年以下で、自動更新されていない:「やむを得ない事由」があるときに限り、直ちに退職できる(民法628条)

もしかすると「試用期間中」というイメージで、

あわなかったら、すぐに会社を辞められるかな…

と考えた方がいるかもしれません。
ですが、はたらき始めた時点で「雇用契約」は開始されており、守るべきルールは正社員など同じです。

「試用期間中だけど退職したい…」と思ったら、いきなり出社拒否したりせず、適正な退職の手続きをすすめるようにしましょう。

パワハラを受けたときの対応方法

パワハラを受けた場合の対応方法

記事の最後に、パワハラを受けたときの対応方法をご紹介します。

職場のイジメもパワハラ?定義を確認

まず、「パワハラの定義」は次のとおりです。

職場のパワーハラスメントとは、職場において行われる①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、①から③までの3つの要素を全て満たすものをいいます。
なお、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しません。

厚生労働省:あかるい職場応援団 ハラスメントの定義より

上記①の「優越的な関係」は、上司だけでなく「同僚や部下」でも、次の場合には該当します。

  • 必要な知識や経験があるため、その協力がないと業務が進まない場合
  • 集団による行為で、拒むことができないこと

つまりは、同僚による「職場のイジメ」も、パワハラにあたるということです。

もし「これはハラスメントなの…?」ということがあれば、こちらのサイトでチェックしてみてください。

また、厚生労働省が作成したこちらの動画も参考になります。

なお、2020年6月1日から職場において「パワーハラスメント防止措置を講じること」は、事業主の義務となりました。
(中小事業では2022年4月1日から義務化され、それまでは努力義務)

この義務化は「労働施策総合推進法の改正」などによるもので、「パワハラ防止法」と呼ばれることも。

またパワハラを行った上司(加害者)は、行為の内容によっては、次のような責任を問われる場合があります。

  • 暴行罪・脅迫罪・侮辱罪などの刑事上の責任
  • 民事上の損害賠償責任

パワハラを受けた場合の対応方法:とにかく相談を

パワハラを受けた場合の対応方法は、一人で悩まず「とにかく相談すること」です。
たとえば、次のような相談窓口があります。

  1. 会社の相談窓口
  2. 公的相談窓口総合労働相談コーナーなど
  3. 外部相談窓口一般社団法人ボイスなど

前項に記載のとおり、パワハラ防止法が施行され、会社は「相談窓口の設置」が義務化されています(中小事業では2022年4月1日から義務化され、それまでは努力義務)。

会社の相談窓口がない場合や、「社内では相談しづらい」ときは、公的・外部相談窓口があります。

とにかく相談すれば、対処方法を知ることもできるし、何よりツラい気持ちを吐き出せます
一人で抱えず、誰かに聞いてもらいましょう。

◆「パワハラで退職するときの流れ」は、こちらの記事でご紹介しています。
・記事「上司のパワハラで退職するときの流れは?

まとめ:「即日退職」はハードルが高い!モメない退職手順の確認を

この記事では、正社員やパート・アルバイト、試用期間中の場合に、会社での「パワハラを理由に即日退職はできるのかどうか」を解説してきました。

会社との合意があればできるものの、とてもハードルが高い「即日退職」。
ムリに「即日退職」を目指さず、有給休暇を使う方法を検討してください。

◆「退職のルール全般」を知りたいときは、こちらの記事もどうぞ。
・記事「退職ルールまとめ

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参考文献

この記事では、下記の書籍を参考にさせて頂いております。

  • 書籍 弁護士による退職代行サービス研究会・著『退職のプロが教えます!会社のきれいなやめ方』自由国民社
  • 書籍 三好眞一・著『失敗のない解雇&退職マニュアル』経営書院
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