会社・仕事がツラいときは、誰かに相談しましょう!一人で悩まないでください

上司のパワハラで退職するときの流れは?自己都合になる?退職届の退職理由も解説します

上司のパワハラで退職するときの流れは?自己都合になる?退職届の退職理由も解説します退職

厚生労働省の発表によれば、2019年度(令和元年度)に労働局や労働基準監督署に寄せられた「総合労働相談」の件数は118万件

さらに相談内容では「いじめ・嫌がらせ」が8年連続トップになるなど、「パワハラに悩まされる人」が増え続けています。

そんななかで、

上司のパワハラがひどいので会社を辞めたい…。どんな流れで退職するといいの?

という悩みをお持ちの方はいませんか?
退職の仕方をまちがえて会社から責められたら、もうウンザリですよね。

そこでこの記事では、上司のパワハラで退職するときの流れ、自己都合になるのか、退職届の退職理由などを解説します

「上司のパワハラ」に悩まされているときは、ぜひご覧ください。

◆「退職のルール全般」を知りたい方には、こちらの記事もオススメです。
・記事「退職ルールまとめ

◆次の会社を探すときは、こちらの記事をどうぞ。
・記事「失敗しない転職先の探し方・見つけ方!
・記事「派遣社員になりたいとき

上司のパワハラで退職するときの流れは?

上司のパワハラで退職するときの流れは?

まずは、上司のパワハラで会社を退職するときの流れをご紹介します。

〈流れ1〉退職前に「総合労働相談コーナー」に相談する

最初に、退職前に公的機関の「総合労働相談コーナー」に相談しましょう

あなたが「これからどうしたいか」によって、次のどちらかの内容を相談してください。

  • A.パワハラを解決したいがどうすればいいか
  • B.すぐにでも退職したいので、”会社都合退職”するためにどうすればいいか

ここで、上記Bの場合では、

どうせ退職するんだから、べつに相談する必要はないんじゃない?

と思うかも知れません。

ですがこの相談は、「とにかくパワハラから逃げたいから退職したところ、”自己都合退職”にされた」など、こちらが損をすることを避けるためのもの。
それに「誰かに話しを聞いてもらう」ことは、ココロの安定にもつながります。

なお「総合労働相談コーナー」とは国の公的機関で、全国の労働局・労基署など379か所に設置されています。

もし、公的機関に相談するのがシンドいようなら、記事「会社・仕事の悩みの相談先を紹介」でご紹介する「一般社団法人ボイス」への相談でもOKです。

また相談にあたっては、次のポイントをノートなどにまとめておきましょう

相談先も「上司の行為がパワハラにあたるのか、退職にあたりなにをすればいいか」などを判断しやすくなります。

  1. パワハラスメントが起こった日時
  2. どこで起こったのか
  3. パワハラの内容(言われたこと、強要されたこと)
  4. パワハラをした上司の氏名・役職
  5. 今後どうしたいか(パワハラを解決したい、すぐにでも退職したい など)

あとは、相談先のアドバイスにしたがって行動してみてください。

〈流れ2〉上司に退職の意思を伝える

ここからは、上記「流れ1」の相談をしたくない方に、一般的な退職の流れをご紹介します。
(相談した方は、相談先のアドバイスにしたがいましょう)

まずは会社の就業規則などで、「退職の意思を上司に伝える時期」を確認してください。
「退職の○ヶ月前までに伝えること」といったルールがあるはずです。

時期のルールがないようなら、退職の1ヶ月前には上司に伝えましょう
もしも、

どうしてもパワハラをガマンできないので、すぐに辞めたい…

というときは、正社員や無期契約の社員なら退職の2週間前までに伝えればOKです。

なお、このタイミングで上司に出す「退職願」や「退職届」について、くわしくは後述しています。

〈流れ3〉引き継ぎを行い退職する

退職前には、しっかり引き継ぎも行いましょう。
引き継ぎをしないと、会社から「損害賠償請求」をされる可能性もあります。

これは、社員には退職するにあたって「引き継ぎを行う」という、雇用契約における信義則しんぎそく上の義務があるためです。

労働契約法 第三条(労働契約の原則)4項
労働者及び使用者は、労働契約を遵守するとともに、信義に従い誠実に、権利を行使し、及び義務を履行しなければならない。

信義則しんぎそく:「信義誠実の原則」の略。「権利の行使」と「義務の履行」は、相手の信頼や期待にしたがい、誠実に行なわなければならないとする原則のこと

また、多くの会社では「退職時には引き継ぎを行う」といったルールを、就業規則などで設けています。

そのため引き継ぎせずに退職すると、引き継ぎ義務違反として損害賠償請求などのトラブルになることもあるのです。

さらに、あとで会社から「引継ぎを行わなかった!損害賠償を請求する」と言いがかりをつけられないように、次のような方法で証拠を残すこともオススメします。

「引き継ぎをした」という証拠を残す方法
  1. まずは上司に「誰に業務を引き継げばよいか」を聞く(口頭&メールで)
  2. 「業務の手順」や「ポイント」をまとめた「引き継ぎ資料」を作成し、上司や引き継ぎ相手、部署内の同僚などにも「念のため」としてメールで送信する
  3. 上司から指示された社員に引き継ぎを行う
  4. もし「引き継ぎの指示」がなければ、上司に「このままでは引き継ぎが行えません」とメールする
  5. 退職前に、上記1・2・4のメール内容と、「引き継ぎ資料」をプリントアウトし、家に持ち帰る(のちにモメたときに証拠とする)

ここまで行ったうえで退職すれば、会社とモメることもありません。

〈流れ4〉退職後にハローワークへ行き失業手当の申請をする

そして退職後にハローワークへ行き、失業手当の申請をしましょう。

なお、次項でご紹介するとおり、パワハラで退職するときは本来”会社都合退職”となります。
しかし会社が”自己都合退職”とすることも。

すると失業手当をもらうまで時間がかかる、国保の軽減措置がないなど損をしてしまいます。

こんなときは、後述するとおりハローワークに「パワハラで退職したのだから”会社都合”でお願いします」と、しっかり伝えてください。

上司のパワハラで退職すると自己都合退職?会社都合退職?

上司のパワハラで退職すると自己都合退職?会社都合退職?

次に、上司のパワハラで退職すると自己都合・会社都合のどちらになるのか、会社が”自己都合退職”にしてきたらどうすればいいのかをご紹介します。

上司のパワハラで退職すると「会社都合退職」に

上司のパワハラで退職すると、離職理由は「会社都合退職になります。
(「会社都合退職」とは、雇用保険では「特定受給資格者」に分類されます)

その根拠は、「特定受給資格者」の範囲が次のように決められているためです。

「特定受給資格者」の範囲

2.「解雇」等により離職した者
(10) 上司、同僚等からの故意の排斥又は著しい冷遇若しくは嫌がらせを受けたことによって離職した者、事業主が職場におけるセクシュアルハラスメントの事実を把握していながら、雇用管理上の必要な措置を講じなかったことにより離職した者及び事業主が職場における妊娠、出産、育児休業、介護休業等に関する言動により労働者の就業環境が害されている事実を把握していながら、雇用管理上の必要な措置を講じなかったことにより離職した者
ハローワークインターネットサービスより)

上記赤字の箇所が、まさにパワハラにあたります。
また、セクハラやマタハラによる退職も「特定受給資格者=会社都合退職」となることがわかります。

◆「特定受給資格者をよりくわしく知りたい」ときは、こちらの記事をご覧ください。
・記事「特定受給資格者と特定理由離職者の違い

ところが、会社側では「会社都合退職にしたくない」と考えるところが多いようです。

これは「会社都合退職(特定受給資格者)」が一定割合以上発生すると、雇入れ関係の助成金が支給されなくなってしまうため。

またパワハラは、会社が防止措置をとることが法律で義務化されているため、「措置が適切でなかった」ことを、ハローワークに報告するようなものです。

そのため、本来は「パワハラのため会社都合退職」となるはずが、「自己都合にしてくれ」と言う会社もあるため注意してください。

会社が”自己都合退職”にしたときはハローワークで異議を申し立てよう

もし会社が「自己都合でないと退職させない」と脅してきたり、離職票の離職理由を”自己都合退職”にしてきた場合。
こんなときは、ハローワークで異議を申し立てましょう

まず、離職理由が「会社都合退職」かどうか(正確には「特定受給資格者・特定理由離職者」かどうか)は、最終的にはハローワークが判断します(ハローワーク資料3ページ最下段)。

会社が記載した離職理由が、そのまま認められるわけではありません!

異議があった場合は、会社側と退職者それぞれの意見をハローワークが聞き、さらに主張を裏付ける資料で事実確認を行ったうえ判断します。

そのため、会社が”自己都合”と記載しても、”会社都合”に変わることもあります。

ハローワークでは「事業主又は離職者の主張のみで判定するものではありませんので、離職理由を確認できる資料の持参をお願いしております。」と説明しています(資料より)。

もしパワハラの証拠となる次のような書類があれば、ハローワークに持参しましょう。

  • 人格を否定する内容のメールを送られた:メールの内容をプリントアウトする
  • 必要な教育もされないまま難しい仕事を任され、できないと怒られた:仕事内容を指示するメモなど

証拠となる書類がないときは、「いつ、どこで、誰からどんなことをされたか」を書いたメモを持参してください。

ぜひハローワークで、「会社で受けた被害」をしっかり伝えましょう。

しゅう
しゅう

パワハラではありませんが、実際に僕は「いきなり就業規則が変わり、月給が7万円下げられた」ために会社を辞めています。
それをハローワークで伝えたところ、離職票で「自己都合」だったものが「会社都合」となり、3ヶ月の待機期間なしで失業手当がもらえました。

「自己都合退職」と「会社都合退職」のちがい

会社の「退職(離職)理由」には、大きくわけると次の2つがあります。

  1. 自己都合退職:転職など、本人の都合による離職
  2. 会社都合退職:倒産やリストラ、退職勧奨、解雇、労働条件が実際とちがった場合、いじめや嫌がらせによる離職など

そしてこの2つには、次のようなちがいがあります。

失業手当
給付制限期間
失業手当
給付日数
国民健康保険料の
軽減措置
1.自己都合退職7日+3ヶ月90日~150日なし
2.会社都合退職7日90日~330日あり

表でわかるとおり、”自己都合退職”は圧倒的に損をします

”会社都合退職”は、倒産や解雇など「再就職の準備をする時間的余裕なく、離職せざるを得なかった」ということで、”自己都合退職”よりも手厚く保護されるためです。

パワハラで退職するなら、”会社都合退職”となるようにしてください。

上司のパワハラで退職するときの退職願・退職届の退職理由は?

上司のパワハラで退職するときの退職願・退職届の退職理由は?

次に、上司のパワハラで退職するときの退職願・退職届の退職理由をご紹介します。

退職理由は、できれば「パワハラを受けたため」と記載を

上司のパワハラで退職するとき、退職願や退職届の退職理由は、できるなら「パワハラを受けたため」と書いてください
そしてコピーをとって、上司に提出。

そうすればコピーをみせることで、あとでハローワークなどに「パワハラを受けたから退職したんです」とアピールをしやすくなります。

ですが、パワハラと書いた退職届を会社が受け取らなかったり、パワハラ上司に退職届を出さなければいけないときなどでは「一身上の都合により」でも問題はありません。

退職すると決めたら、まずはなにより退職することを優先させましょう。

ちなみに退職願は市販の封筒などで大丈夫ですが、こちらのセットなら「退職願用便せん」や「郵送時添え状」まですべて揃っているので、おすすめです。

なお一般的には、退職1ヶ月まえに上司に「退職の意思を伝える」ときには”退職願”を。
次に、退職が上司に認められ退職日が確定したところで”退職届”を提出します。

◆退職願と退職届についてくわしく知りたいときは、こちらの記事をご覧ください。
・記事「退職願・退職届・辞表の違い

パワハラ上司を退職させることはできる?

パワハラ上司を退職させることはできる?

次に、パワハラ上司を退職させることはできるのかをご紹介します。

受けた内容によってはパワハラ上司を退職させられる可能性は高い

受けた内容にもよりますが、あまりにヒドイことをされていたなら、パワハラ上司を退職させられる可能性は高いです。

これは、パワハラを行った上司(加害者)は、行為の内容によっては次のような責任を問われる場合があるため。

  • 暴行罪・脅迫罪・侮辱罪などの刑事上の責任
  • 民事上の損害賠償責任

そして会社の就業規則では、このような「業務上の地位を利用した犯罪を行えば懲戒解雇とする」と規定していることが多数です。

つまり殴る・蹴るといった暴力行為や、全社員の前で誹謗中傷されるなどの行為を行えば、暴行罪や侮辱罪に問われ、会社をクビになる可能性も高くなります

しゅう
しゅう

パワハラ上司に悩まされているなら、まずは会社の窓口や、公共施設に相談してみましょう。

上司からの「退職勧告(勧奨)」もパワハラになる?

上司からの「退職勧告(勧奨)」もパワハラになる?

退職勧告」とは、「退職勧奨」ともよばれ会社が特定の社員に対して、退職を勧める行為です。
「退職金の上乗せ」など、優遇した退職条件を提示して行います。

少し古いデータですが、労働政策研究・研修機構が2012年に行った調査では、次のような結果が残っています。

  • ここ5年間で「退職勧奨」をしたことがある企業は16.4%
  • 会社の規模が大きいほど、「退職勧奨」を行った割合が高い(1000人以上では30.3%

「退職勧告」自体は違法ではなく、さまざまな事情で余剰となった社員に、個別に退職をうながします。

ですが、あまり強く勧めたり、その回数が多すぎると「退職強要」となり違法行為です。
「退職強要」の内容はパワハラと思えるものも多いため、「上司からの「行き過ぎた退職勧告」はパワハラになることがある」といえます。

たとえば次のような行為は、パワハラとも言える「退職強要」です。

  • 長時間の面談を行い、食事休憩やトイレにも行かせない(精神的な攻撃)
  • 面談の期間中に、通常の業務から外し雑用ばかりさせる(過小な要求)
  • 退職に応じない社員の自宅に押しかける(個の侵害)

パワハラ上司に悩まされているなら、記事「会社・仕事の悩みの相談先を紹介」でご紹介する「労働局」や「一般社団法人ボイス」へ相談してみてください。

◆退職勧奨についてくわしくは、こちらの記事で解説しています。
・記事「退職勧奨とは?

まとめ:上司のパワハラで退職するなら”会社都合退職”になるように

この記事では、上司のパワハラで退職するときの流れ、自己都合になるのか、退職届の退職理由などを解説しました。

上司のパワハラで退職するなら”会社都合退職”です。
もし会社が”自己都合”にするようなら、記事でご紹介したように異議を申し立てるなどして損をしないようにしましょう。

◆「パワハラを理由にした退職」についてくわしくは、こちらの記事でご紹介しています。
・記事「パワハラを理由に「即日退職」できる?

◆「退職のルール全般」を知りたい方には、こちらの記事もオススメです。
・記事「退職ルールまとめ

◆次の会社を探すときは、こちらの記事をどうぞ。
・記事「失敗しない転職先の探し方・見つけ方!
・記事「派遣社員になりたいとき

参考文献

この記事では、下記の書籍を参考にさせて頂いております。

  • 書籍 大槻哲也・監修『職場のハラスメント防止策と事後対応がわかる本』成美堂出版
  • 書籍 中尾幸村ほか・著『図解わかる 会社をやめるときの手続きのすべて』新星出版社
  • 書籍 林明文・著『よくわかる希望退職と退職勧奨の実務』同文館出版
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