J-NET21によれば、特に「非製造業」の企業では人手不足が続いています。
そのため、
パートの仕事を辞めたいけれど、「人手不足だから」とやめさせてくれない…。どうすればいいの…?
こういった悩みをかかえる方も、多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、人手不足で「パートの仕事が辞められない」ときにどうすればいいのか、その対策や法律上の退職ルール、「即日退職」の例までご紹介します。
「何とかして今の仕事を辞めたい…」と考えているパートの方は、ぜひご覧ください。
◆「パート社員のルール・情報全般」を知りたい方には、こちらの記事もオススメです。
・記事「パート社員とは?残業代、雇止めなどのルールも解説」
◆「退職のルール全般」を知りたい方には、こちらの記事もオススメです。
・記事「退職ルールまとめ」
◆次の会社を探したいときには、こちらの記事が参考になります。
・記事「失敗しない転職先の探し方・見つけ方!」
・記事「派遣社員になりたいとき」
人手不足でパートの仕事が辞められない…どうすればいい?3つの対策を紹介
「人手不足でパートの仕事が辞められない…」こんなときは、どうすればいいのか?
そんなとき、ためしてほしい方法がこちらです。
ここからは、それぞれの方法を解説していきます。
[対策①]円満退職を目指すなら「やむを得ない状態」であることを会社に伝える
ひとつめの対策として、もしあなたが円満退職を目指すなら、次のような「やむを得ない状態」であることを会社に伝えてみましょう。
- 仕事をつづけることで、社員の身体・生命に対する危険が予測される場合
- 近親者の介護が必要な場合
- 家庭の事情が急激に変化した場合
具体的な退職理由は、このような内容です。
- 私が腰を痛めて、立つのがつらくて…
- 私が病気になってしまって…
- 家族の介護をすることになって…
- こどもの体調が悪いので、ついてあげたくて…
ただ、もしここでウソを会社につたえて退職し、あとになってウソがバレると、会社から「損害賠償の請求」をされる可能性も。
そこは気をつけてください。
完全なウソだと、あとあと「元同僚」に会ったとき面倒なので、「ちょっと腰が痛いな…」という本音をやや大げさに伝えることがオススメです。
なお上記の退職理由は、後述する退職ルールの「やむを得ない事由」にあたるため、有期労働契約の期間中でも、退職ができる内容です。
(ただし、会社から損害賠償請求される可能性はあります)
これでも会社が退職させてくれない、もしくは「自分にあてはまる退職理由がない」という方は、次の方法にいきましょう。
[対策②]とにかく退職したいなら退職届を出して2週間後に退職する
2つめの対策として、とにかく退職したいなら、退職届を出して2週間後に退職するという方法です。
ただしこの方法は、後述する退職ルールの「有期労働契約で1年経ったか、契約を更新した」または「無期労働契約」の方しか使えません。
前項の「合意退職」とは違って、こちらの方法は「辞職」といい、社員側が一方的に退職の意思を伝えるもの。
ですから、会社が合意しようがしまいが関係なく、2週間後には退職が可能です。
ただし引き継ぎをしないと、会社から損害賠償請求をされる可能性があるため、書面などを使ってしっかり引き継ぎは行いましょう。
◆「退職届の書き方」についてくわしくは、こちらの記事でご紹介しています。
・記事「退職願・退職届・辞表の違いとは?」
[対策③]労働局など公的機関に相談する
上記①・②の対策が行えない、行っても会社が認めてくれないときは、労働局などの公的機関に相談しましょう。
公的機関の担当者はプロですから、どんな対応をするといいのかを的確にアドバイスしてくれます。
ちなみに労働局とは、各都道府県に設置された、厚生労働省の出先機関。
労働者のさまざまな相談にのってくれ、場合によっては会社への指導なども行ないます。
ただ、「いきなり、公的機関に相談するのはちょっと…」という方におすすめなのが一般社団法人ボイスです。
こちらでは職場でのトラブルについて、適したカウンセラーが相談にのってくれます。
相談は「電話」と「メール」ででき、しかも無料です。
「まず何をしたらいいのかわからない…」といったときには、ぜひご利用ください。
とにかく誰かに相談して、退職への一歩を踏み出しましょう。
有期・無期契約の違いによる法律上の退職ルールを確認
次に、パートの仕事における、有期・無期契約の違いによる法律上の「退職ルール」を確認しましょう。
まずは自分が有期契約・無期契約のどちらなのか確認する
退職ルールを知る前にまず確認してほしいのが、あなたのパートの仕事が「有期労働(雇用)契約」と「無期労働(雇用)契約」のどちらか、ということ。
- 有期労働(雇用)契約:「3ヶ月」や「6ヶ月」など、期間の定めのある労働(雇用)契約のこと。更新されている場合も含む
- 無期労働(雇用)契約:期間の定めのない労働(雇用)契約のこと
パート社員というと「有期労働契約」というイメージですが、実は「無期労働契約」という方もいます。
そこで、はたらきはじめた際に会社から明示された「労働条件通知書」や、とりかわした「雇用契約書」などを調べてください。
ここで「契約期間」に日付がはいっていれば「有期労働契約」、なければ「無期労働契約」です。
次に、それぞれの「退職ルール」をご紹介します。
有期労働契約での退職ルール
「有期労働契約」ではたらく社員は、原則として、契約期間中に退職することはできません。
これは、「会社と社員が合意して、契約期間を決めている」とみなされるため。
ただし次の場合は、それぞれのケースで退職が可能です。
- 契約期間が1年を超えるとき:はたらきはじめて1年たてば、いつでも退職の申し入れができる
- 契約期間が1年以内のとき:契約が更新されたら、いつでも退職の申し入れができる
また契約期間中でも、前述の「やむを得ない事由」をふくめた以下の場合には、退職ができます。
ただ、「やむを得ない事由」があっても、「退職の理由」がパート社員側の過失によって生じて、具体的な損害が発生した場合は、パート先から損害賠償の請求をされる可能性があります。
無期労働契約での退職ルール
「無期労働契約」ではたらく社員は、会社に対して、いつでも退職の申し入れができます。
民法上では「退職の2週間前」までに申し入れれば、退職が可能。
ですが円満退社を目指すなら、会社のルールにしたがいましょう。
就業規則をみて、そこに「退職の場合は◯日前までに申請すること」といったきまりがあれば、その日数にあわせて退職の申し入れを行ってください。
◆「円満退職に向けての退職手順」についてくわしくは、こちらの記事でご紹介しています。
・記事「自己都合での退職手順を解説!」
求人票などの条件と実際がちがっていたら「即日退職」もOK
もしパートを辞めたい理由が、
求人広告では時給1,000円だったのに、実際は800円だった!
こんなとこで、はたらきたくない!
ということであれば、パート先の同意を得なくとも、「即日退職」ができます。
記事の最後に、このルールをご紹介しましょう。
まずパート先はあなたを雇うとき、給料など下図の「労働条件」を、書面などで明示しなければなりません(労働基準法15条1項)。
そして実際にはたらきはじめたところ、明示された「労働条件」とちがっていた場合には、労働者は即時に「労働契約」を解除することができるとされています(労働基準法15条2項)。
労働基準法15条(労働条件の明示)
・1項:使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
・2項:前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。
これは社員側が一方的に、つまり「会社の合意を得ずに、その日のうちに退職できる」ということ。
もし、「これは労働条件にあてはまるのかな…?」と心配な場合には、前述した労働局か一般社団法人ボイスに確認をしたうえで、パートを辞めるようにしてください。
まとめ:パートの仕事が辞められないときは、労働局へ相談を
この記事では、人手不足で「パートの仕事が辞められない」ときにどうすればいいのか、その方法や法律上の退職ルール、「即日退職」の例までご紹介しました。
ヘタに自己判断で退職すると、会社からの「損害賠償請求」という、怖い状況も…。
しっかりと労働局に相談し、適切な判断をしてもらいましょう。
◆「パート社員のルール・情報全般」を知りたい方には、こちらの記事もオススメです。
・記事「パート社員とは?残業代、雇止めなどのルールも解説」
◆「退職のルール全般」を知りたい方には、こちらの記事もオススメです。
・記事「退職ルールまとめ」
◆次の会社を探したいときには、こちらの記事が参考になります。
・記事「失敗しない転職先の探し方・見つけ方!」
・記事「派遣社員になりたいとき」
参考文献
この記事では、下記の書籍を参考にさせて頂いております。
- 書籍 布施直春・著『Q&A 退職・解雇・雇止めの実務』労働調査会
- 書籍 弁護士による退職代行サービス研究会・著『退職のプロが教えます!会社のきれいなやめ方』自由国民社