会社で働くなかで、
「経営状況が悪いから」と給料を減らされた…違法じゃないの?
こんな悩みをお持ちではないですか?
生活に直結する大切なことですから、給料のことはちゃんと解決しておきたいですよね。
そこでこの記事では、「経営状況が悪いから」と給料を減らされるのは違法なのか、その対応方法もご紹介します。
「給料を減らされて、どうすればいいのか困っている…」というときは、ぜひご覧ください。
◆「労働基準法とその内容」を知りたい方には、こちらの記事もオススメです。
・記事「労働基準法とは?労働時間などのルールもわかりやすく解説」
◆次の会社を探したいときには、こちらの記事が参考になります。
・記事「失敗しない転職先の探し方・見つけ方!」
・記事「派遣社員になりたいとき」
「経営状況が悪いから」と給料を減らされた…違法じゃないの?
まずは、「経営状況が悪いから」と給料を減らされたのは違法なのかを確認していきます。
「経営状況が悪い」だけで本人の同意なしに給料は減らせない
結論としては、会社側の「経営状況が悪い」という理由だけでは、社員本人の同意なしに給料は減らせません。
つまり「違法である」可能性が高いといえます。
まず前提として、「給料の金額」は会社と社員で交わした約束(労働契約)であり、本人の同意なく不利益に変更することはできません(労働契約法8、9条)。
労働契約法
8条(労働契約の内容の変更)
労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる。
9条(就業規則による労働契約の内容の変更)
使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。ただし、次条の場合は、この限りでない。
「さまざまな措置を講じており、あとは賃金カットを行わないと会社が潰れてしまう」といったような「不利益変更に合理的な理由がある場合」には、本人の同意なしに変更も行えます(労働契約法10条)。
しかしこれまでの裁判例でも、この「合理的な理由」が認められるためには、よほどの措置を講じていることが必要です。
今回のような「経営状況が悪いから」といった理由だけでは「不利益変更に合理的な理由がある場合」とはいえません。
つまり、本人の同意を得ずに給料を減らすことは、会社側が労働契約法9条違反となる可能性が高いということです。
給料が下げられたのに黙っていると「同意」とみられることも
注意してほしいのが、給料が下げられたのに黙っていると「給料の減額に同意した」とみられることがある点。
過去の裁判例でも、「給与の減額から11ヶ月が経ち、金額と明細が記載された書面にサインした」ことが「黙字の合意」と認められたことがあります(ザ・ウインザー・ホテルズインターナショナル事件)。
給料の額がおかしいと思ったら、すぐに会社側に確認してみましょう。
会社側の「給料が減るのがイヤなら辞めてもらう」は無効
ブラックな会社だと、同意しない社員に対して、
給料が減るのがイヤなら、辞めてもらうから…
などと言ってくるかもしれませんが、このような解雇は無効です。
(これは「変更解約告知」とよばれるケースでもありますが、まだ日本国内でのルールが定まってはいません)
解雇には、「客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であると認められる」必要があり、それが認められなければ、権利を濫用したものとして無効になります(労働契約法16条)。
とはいえ、こうしたことを言ってくるブラック企業からは、早めに離れることをおすすめします…
ちなみに「給料が85%未満に低下したことによる退職」ならば特定受給資格者となり、3ヶ月の給付制限期間なしで失業手当を受けとることができます。
ぜひこちらの記事を参考に、転職先を探してみてください。
「経営状況が悪いから」と給料を減らされたときの対応方法
次に、「経営状況が悪いから」 と給料を減らされたときの対応方法をご紹介します。
[対応方法①]まずは会社に確認
「経営状況が悪いから」 と給料を減らされたときは、まずは会社に、
私は減給に同意していないのですが、間違いではないでしょうか?
と確認しましょう。
もしかすると、「別の社員と間違った」ということもありえます。
このとき念のため、上司などとのやり取りは、スマホやICレコーダーなどで録音しておきましょう。
その結果、間違いではなく、意図的に給料を減らしており、減額した分を変換するつもりがないようなら、次項の公的機関に相談してください。
[対応方法②]会社に確認しても解決しないときは労働局へ
会社に確認しても解決しないときは、労働局へ相談しましょう。
もし上司や人事担当者とやり取りした録音があれば、証拠として持参してください。
ただ、「公的機関に相談しづらい…」というときには、記事「会社・仕事の悩みの相談先を紹介」でご紹介する「一般社団法人ボイス」へ相談してみてください。
もしも、「もうこんな会社とはかかわりたくない」ということであれば、こちらの記事を参考に次の会社を探してみてください。
制裁としての「減給」は別ルール
記事の最後に、制裁としての「減給」について確認しましょう。
減給には就業規則での規定、減給金額の範囲などのルールあり
同じ「給料を減らされる」ケースでも、会社が制裁として「減給」を行うときは、上記「経営不振の場合」とは別で、以下のルールが必要になります。
◆「制裁としての減給」についてくわしくは、こちらの記事でご紹介しています。
・記事「会社に遅刻して給料が引かれることは問題ない?」
まとめ:「経営状況が悪い」としても本人の同意なく給料は減らせません
この記事では、「経営状況が悪いから」と給料を減らされるのは違法なのか、その対応方法もご紹介しました。
記事でご紹介したように、「経営状況が悪い」としても本人の同意なく給料は減らせません。
会社が一方的に賃金カットをしてくるときは、早めに労働局にご相談ください。
◆「労働基準法とその内容」を知りたい方には、こちらの記事もオススメです。
・記事「労働基準法とは?労働時間などのルールもわかりやすく解説」
〈こちら↓の記事もおすすめです〉
・「会社のことをどこかに相談したい」ときは…会社・仕事の悩みの相談先を紹介
・「次の会社をさがしたい」ときは…失敗しない転職先の探し方・見つけ方!
・「派遣社員ではたらきたい」ときは…「派遣社員になりたい!」ときはどうする?
参考文献
この記事では、下記の書籍を参考にさせて頂いております。
- 書籍 林智之・著『職場の法律トラブルと法的解決法158』三修社