退職って、つまりどういうこと?
「辞職」と「合意退職」と「自然退職」って、どう違うの?
「退職」のことを調べると、いろいろな文言がでてきて、その違いがわかりづらいですよね。
そこでこの記事では「退職」とはどういったことを指すのか、その種類や定義を解説していきます。
「退職」の定義を知りたいあなたは、ぜひご覧ください。
◆「退職のルール全般」を知りたい方には、こちらの記事もオススメです。
・記事「退職ルールまとめ」
◆次の会社を探したいときには、こちらの記事が参考になります。
・記事「失敗しない転職先の探し方・見つけ方!」
・記事「派遣社員になりたいとき」
退職とは「労働契約の終了」のこと:その種類
「退職」とは、法律的にいえば「労働契約の終了」を指します。
そして「退職(労働契約の終了)」には、次の方法があります。
退職(労働契約の終了)の種類
1.解雇
2.辞職
3.合意退職
4.期間満了
5.定年
6.自然退職
7.社員の死亡
8.法人の解散
ここからは、それぞれの方法について、くわしくご紹介します。
[退職の種類①]解雇:会社側の一方的な意思で雇用契約を終了させること
「解雇」とは、社員側の意思に関係なく、会社の一方的な意思により「雇用契約」を終了させることで、次の3つの類型があります。
- 普通解雇:社員の能力・適性の不足や労働不能を原因とする解雇
- 懲戒解雇:会社の規律に違反した「懲戒処分」としての解雇
- 整理解雇:会社の倒産や縮小による「経営上の必要性」による解雇
ですが、会社の都合で自由に解雇されては、社員は安定した生活をおくることができません。
そのため「解雇」には、法律によって「客観的で合理的な理由」が必要とされ、カンタンには行なえません。
[退職の種類②]辞職:社員側の一方的な意思で雇用契約を終了させること
「辞職」とは、会社側の意思に関係なく、社員の一方的な意思により「雇用契約」を終了させることです。
社員の意思表示だけで契約が終了するので、会社が退職を「認める・認めない」という段階がそもそも存在しません。
ただし「辞職」の場合、正社員については2週間たたなければ、労働契約を終了させることはできません。
ちなみに「退職届」は辞職の場合に使用する書面です。
ですので「退職届」を出して、会社に「認めない」と言われた場合でも、法的な拘束力はなく、2週間後には退職できます。
◆「退職願と退職届の違い」を知りたい方には、こちらの記事がおすすめです。
[退職の種類③]合意退職:会社と社員が合意して退職すること
「合意退職」とは、社員が申し出た退職について、会社が合意することです。
円満な退職を目指す場合は、この「合意退職」を行います。
また会社が「今日辞めてもいい」と合意すれば、「即日退職」も行えます。
ちなみに「退職願」は、合意退職の場合に使用する書面です。
[退職の種類④]期間満了:有期契約で期限が到来すること
「期間満了」とは、期間の定めのある「有期雇用契約」の場合に、期限が到来することです。
ただし期間の定めがあっても、期限到来で必ず「雇止め」になるわけではありません。
社員と会社の両方が希望すれば、契約を更新することも可能です。
◆「雇止め」についてはくわしく知りたい方には、こちらの記事がおすすめです。
[退職の種類⑤]定年:定年制の年齢に達すること
「定年」とは、社員が定年制の年齢に達することによる退職です。
2021年4月からは「改正高年齢者雇用安定法」が施行され、「70歳までの就業確保」が努力義務となりました。
[退職の種類⑥]自然退職:会社のルールを満たして労働契約が終了すること
「自然退職」とは、就業規則などで決められた「会社のルールを満たす」ことで、「労働契約」が終了することです。
例えば就業規則で「私傷病休職の休職期間を過ぎた場合は退職とする」と規定されているケースを指します。
[退職の種類⑦]社員の死亡:社員が死亡して労働契約が終了すること
社員が死亡した場合にも、「労働契約」は終了します。
ちなみに会社の代表者や個人事業主が死亡した場合は、「相続人が事業を引き継ぐ」のであれば、「労働契約」はそのまま続きます。
[退職の種類⑧]法人の解散:会社が事業を辞めること
「法人の解散」とは、つまり「会社が事業を辞めること」です。
法人を解散し、清算手続きが完了すると「法人格が消滅」するため、「労働契約」も終了します。
退職手続きとは、労働契約を終了させる手続き
「退職手続き」とは、入社時に会社と交わした「労働契約」を終了させる手続きです。
制度上などの退職の種類
前項でご紹介した「労働契約の終了」としての「退職」なかには、さらに制度上などで規定された種類の「退職」があります。
ここでは、そういった制度上などの退職の種類について、ご紹介します。
[制度上の退職①]依願退職:社員が退職を申し出て会社が合意することで行われる退職
「依願退職」とは、社員が退職を申し出て、会社が合意することで行われる退職です。
前項でご紹介した「合意退職」のひとつといえます。
[制度上の退職②]円満退職:円満に退職を行うこと
「円満退職」とは、退職時に会社とモメることなく、円満に退職を行うことです。
そのためには、会社が決めた「退職のルール(所定書類や申し出の期間など)」をよく確認し、しっかり守ることが大切となります。
◆「円満退職のための手順」を知りたい方には、こちらの記事がおすすめです。
[制度上の退職③]諭旨退職:秩序違反行為を行った社員が退職すること
「諭旨退職」とは、「秩序違反行為に対する制裁」としての「懲戒処分」のひとつで、懲戒解雇をやや軽減した処分です。
会社が、秩序違反行為を行った社員に「退職届」などの提出を勧告し、退職するのが「諭旨退職」。
所定期間内に社員が応じない場合は「諭旨解雇」となります。
[制度上の退職④]普通退職:公務員が定年・早期退職などに該当せず離職すること
「普通退職」とは、総務省が発表する「地方公務員の退職状況調査」などで使われ、次のように定義されています。
「普通退職」とは
定年退職、勧奨退職、早期退職募集制度による退職、分限免職、懲戒免職、失職及び死亡退職のいずれの事由にも該当しないで離職すること。
例えば、自己都合による退職、在職期間の通算を伴う退職等のほか、いわゆる諭旨免職による離職などがある。
「希望退職募集制度」と「早期退職優遇制度」の違い
「希望退職募集制度」と「早期退職優遇制度」はどちらも、募集人員や募集対象者、退職日などを決めて一定の期間で退職者を募る退職制度です。
ですがそれぞれ、次のような違いがあります。
希望退職募集制度:「整理解雇の前段階」として、人員整理を目的に実施する制度
早期退職優遇制度:「企業経営が悪化していない段階」で、人事ローテーションの円滑化などのために実施する制度
◆希望退職と早期退職については、それぞれこちらの記事でくわしくご紹介しています。
「自己都合(自主)退職」と「会社都合退職」の違い
会社の「退職(離職)理由」には、大きくわけると次の2つがあります。
- 自己都合(自主)退職:転職など、本人の都合による離職
- 会社都合退職:倒産やリストラ、退職勧奨、解雇、労働条件が実際とちがった場合、いじめや嫌がらせによる離職など
そしてこの2つには、次のような違いがあります。
失業手当 給付制限期間 | 失業手当 給付日数 | 国民健康保険料の 軽減措置 | |
---|---|---|---|
1.自己都合退職 | 7日+3ヶ月 | 90日~150日 | なし |
2.会社都合退職 | 7日 | 90日~330日 | あり |
また、「会社都合退職」する社員がいると、「雇入れ関係の助成金」が支給されなくなります。
そのため会社側では「会社都合」にしたくないケースが多いもの。
「退職勧奨」での退職は、本来は「会社都合退職」になります。
しかし退職届を出させて「自己都合(自主)退職」にしようとする会社もありますので、気をつけましょう。
◆「会社都合退職(特定受給資格者)」についてくわしく知りたい方には、こちらの記事がおすすめです。
まとめ:特に「辞職」と「合意退職」の違いを知り、適切な退職を
この記事では「退職」とはどういったことを指すのか、その種類や定義を解説してきました。
おそらく「辞職」か「合意退職」で退職するケースが多いハズ。
この違いを知り、適切な退職を目指しましょう。
◆「退職のルール全般」を知りたい方には、こちらの記事もオススメです。
・記事「退職ルールまとめ」
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参考文献
この記事では、下記の書籍を参考にさせて頂いております。
- 書籍 弁護士による退職代行サービス研究会・著『退職のプロが教えます!会社のキレイなやめ方』自由国民社
- 書籍 荘司芳樹・著『図解わかる労働基準法』新星出版社
- 書籍 三好眞一・著『失敗のない解雇&退職マニュアル』経営書院