転職活動をしていて、
求人広告の労働条件が実際とは違ってた!こんなときはどうすればいいの?
こんな目にあってはいませんか?
だからといって会社を辞めたらモメそうだし、対応に困りますよね。
そこでこの記事では、求人広告・求人票の労働条件が実際と違うときはどうするのか、その対応方法から即日退職できる条件、相談先までご紹介します。
「せっかく入社したのに、労働条件が違う…どうしよう?」と困っているときは、ぜひご覧ください。
◆「労働基準法とその内容」を知りたい方には、こちらの記事もオススメです。
・記事「労働基準法とは?労働時間などのルールもわかりやすく解説」
◆次の会社を探したいときには、こちらの記事が参考になります。
・記事「失敗しない転職先の探し方・見つけ方!」
・記事「派遣社員になりたいとき」
会社・仕事のトラブルで悩んでいるなら、一般社団法人ボイスへの相談がおすすめ。メール・電話で専門家に無料相談できます。
求人広告・求人票の労働条件が実際と違うときはどうする?対応方法を紹介
それではここから、求人広告・求人票の労働条件が実際と違うときはどうするのかを、確認していきます。
まずはじめに知ってほしいのが、会社側が求職者に「労働条件を提示し、確認を行うタイミング」には、次の4つのタイミングがある点。
〈労働条件の提示・確認を行うタイミング〉
①求人広告やハローワークの求人票
②面接時
③働きはじめる前の「労働条件通知書」の提示
④働きはじめてから(実際の条件)
そして「求人広告・求人票の労働条件が実際と違うとき」には大きく、以下の3つのパターンがあります。
- パターン①: 求人広告と「労働条件通知書」の労働条件が違うとき
- パターン②:面接でなんの説明もなく、求人広告の労働条件が実際と違うとき
- パターン③:面接で説明があり、求人広告の労働条件が実際と違うことに合意したとき
ここから、それぞれのパターンでの対応方法をご紹介します。
求人広告と「労働条件通知書」の労働条件が違うときの対応方法
まず1つめのパターンは、求人広告と「労働条件通知書」の労働条件が違うときです。
このときは、できれば雇用契約書などにサインする前に会社に、
求人広告にあった労働条件と違うので、検討していただけますか?
とお願いしましょう。
それで労働条件を修正してくれれば問題ありませんが、
ウチの会社はこの条件じゃないと、入社を認めないよ!
ということもあるでしょう。
労働条件の「変更内容」が、ガマンできる程度ならそのまま入社を、ガマンできないようであれば、その会社への入社は断るほうがいいでしょう。
また、雇用契約書などにサインしたあとで労働条件が違うことに気づき、その雇用契約書に労働条件が記載されていた場合。
この場合は、変更された労働内容に同意していたことになります。
同意のうえで入社手続きが進んでいるので、カンタンに「辞めます」というわけにもいきません。
一応、会社に「じつは見逃していたんですが、労働条件が違っていて…」と相談してみましょう。
それで解決しないときは、記事「会社・仕事の悩みの相談先を紹介」でご紹介する「労働局」や「一般社団法人ボイス」へ相談してみてください。
面接で説明もなく、求人広告の労働条件が実際と違うときの対応方法
2つめのパターンは、面接でなんの説明もなく、求人広告の労働条件が実際と違うとき。
このときは、会社に「条件が違うので、当初の条件にしてほしい」ことを伝えてください。
改善されないなら後述のとおり「即日退職」も可能です。
もともと、「求人広告・求人票」の労働条件は「一応の目安」で確定していません。
そのため「労働条件通知書」と違っていても、違法ではありません。
ですが面接での説明や「労働条件通知書」の明示がない場合は、「求人広告・求人票」の内容が「労働契約の内容」となります。
そして、「労働契約の内容」と実際の労働条件が違っているときは、労働基準法15条2項にもとづき「即日退職」が可能。
つまりこの場合は、「求人広告・求人票」と実際の労働条件が違うので「即日退職」できるのです。
次の会社はぜひ、記事「失敗しない転職先の探し方・見つけ方!」を参考に探してみてください。
面接で説明があり、求人広告の労働条件が実際と違うことに合意したときの対応方法
3つめのパターンは、会社側から面接時に、
実は、求人広告の労働条件と実際の労働条件は違います。
という説明があり、それに対して求職者が、
わかりました。その条件で問題ありません。
として合意したとき。
このときは求職者が、労働条件が違うことに合意していますので、あとから「やっぱり求人票の内容に戻してほしい」としても認められません。
もちろん会社に伝えることは自由ですが、合意しているわけですから、変更されることは難しいです。
前項にあった「即日退職」も認められません。
すでに入社しているなら、通常の退職と同様に、上司に退職の相談をするしかありません。
書面でも面接でも、労働条件はよく確認しましょう。
転職を考えたら、応募書類作成から面接、内定までを無料でサポートしてくれる転職エージェントに相談してみましょう。おすすめは”DODAエージェントサービス”です。
労働条件が実際と違うときの相談先は?
次に、労働条件が実際と違うときの相談先をご紹介します。
労働条件が実際と違うときの相談先は労働局・ハローワーク
労働条件が実際と違うときの相談先は、労働局やハローワークとなります。
ちなみに労働局とは、各都道府県に設置された、厚生労働省の出先機関。
労働者のさまざまな相談にのってくれ、場合によっては会社への指導なども行ないます。
ただ、「公的機関に相談しづらい…」というときには、記事「会社・仕事の悩みの相談先を紹介」でご紹介する「一般社団法人ボイス」へ相談してみてください。
「求人広告・求人票」と「労働条件通知書」の法律上の意味合いの違い
次に、「求人広告・求人票」と「労働条件通知書」の法律上の意味合いの違いをご紹介します。
結論としてはこちらのとおり。
求人広告・求人票 | 労働条件通知書 | |
---|---|---|
根拠となる法律 | 職業安定法5条の3 | 労働基準法15条1項 |
労働条件の正確性 | 目安のため、給与など「見込額」でもよい | 確定した労働条件を記載する必要あり |
それぞれ違う法律で「労働条件の明示」ルールが決められており、それに従った項目などを明示しています。
そして、ここで覚えてほしいポイントは次の2つです。
- 「求人広告」と「労働条件通知書」で労働条件が違うのは違法ではない
- 「労働条件通知書」が明示されないときは、「求人広告・求人票」の内容が「労働契約の内容」になる
「求人広告・求人票」は、「確定前」の労働条件で「一応の目安」となり、給与などは「見込み額」などを示せばいいとされます。
それに対して「労働条件通知書」は、給与などの確定額を示す必要があります。
ですから、「求人広告」と「労働条件通知書」で労働条件が違うのは、違法ではないのです。
ただしそのときは、会社は違っている内容を社員に明示しなければなりません(職業安定法5条の3 第3項)。
また、「労働条件通知書」が明示されないときは、「求人広告・求人票」の労働条件が”具体的で確定的”であれば、これが「労働条件」になるとされます。
ちなみに「労働条件通知書」の明示をしない会社は、「ブラック企業」である割合がかなり高いです。気をつけてください…
◆「労働条件の明示」については、こちらでわかりやすく解説しています。
・記事「労働条件の明示はどんな義務?」
労働条件が実際と違うときは即日退職が可能
求人広告では時給1,000円だったのに、実際は800円だった!
信じられない!
このように、「明示された労働条件」や「求人広告などで”労働条件となった項目”(前項参照)」と、実際の労働条件がちがっていたときは、会社側の同意を得なくとも、「即日退職」ができます。
これは労働基準法15条2項で決められており、労働者は即時に「労働契約」を解除することができるとされています。
労働基準法15条(労働条件の明示)
2項 前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。
つまり、社員側が一方的に「会社の合意を得ずに、その日のうちに退職できる」ということです。
ただし、「サインした”雇用契約書”に、変更後の労働条件が記載されていたけれど気づかなかった」というときは、この対象になりません。
該当するのか心配なときは、まず前述した労働局などにご相談ください。
「会社を辞められない」なら、退職代行サービスという方法も。おすすめは、弁護士法人運営で、未払い金請求や慰謝料請求など各種請求・交渉にも完全対応の退職110番です。
まとめ:労働条件が違うときのルールを知って、適切な対応を
この記事では、求人広告・求人票の労働条件が実際と違うときはどうするのか、その対応方法から即日退職できる条件、相談先までご紹介しました。
ぜひ記事を参考に、労働条件が違うときのルールを知って、適切な対応を行いましょう。
◆「労働基準法とその内容」を知りたい方には、こちらの記事もオススメです。
・記事「労働基準法とは?労働時間などのルールもわかりやすく解説」
〈こちら↓の記事もおすすめです〉
・「会社のことをどこかに相談したい」ときは…会社・仕事の悩みの相談先を紹介
・「次の会社をさがしたい」ときは…失敗しない転職先の探し方・見つけ方!
・「派遣社員ではたらきたい」ときは…「派遣社員になりたい!」ときはどうする?
参考文献
この記事では、下記の書籍を参考にさせて頂いております。
- 書籍 林智之・著『職場の法律トラブルと法的解決法158』三修社